市場創出力

誰もが“自分軸”で生きられる社会のプラットフォームを構築、日本の社会の当たり前を変える

株式会社ArtMind

代表取締役

小川 晋平

写真/芹澤 裕介 文/桑原 恵美子 | 2021.09.10

コロナ禍によるパラダイムシフトで、多くの人が旧来の生き方に疑問を抱き始めている。「誰もが自分軸で幸せな人生を送れる社会」を実現するプラットフォームを築くべく、株式会社ArtMindの小川晋平氏が模索を重ねてきた、集大成ともいえる新プロジェクトが、ついに始動する。

株式会社ArtMind 代表取締役 小川 晋平(おがわしんぺい)

1978年、東京都生まれ。高校までドイツ・デュッセルドルフで過ごし、帰国。青山学院大学国際政治経済学部を卒業。約20社(10職種)を経験した後、2008年に株式会社ArtMindを設立。2014年に休止後、『7つの習慣』のフランクリン・コヴィー社に入社し、世界最高の研修プログラムの法人営業を担当。2020年、株式会社ArtMindの活動を再開。

原体験で、日本社会の「当たり前」への強烈な違和感

幼年時代をドイツで過ごした小川氏は、15歳で再び渡独。最も多感な時期を、現地のインターナショナルスクールで多彩な価値観に触れて過ごす。19歳で帰国した小川氏は、暗い表情で下を向いて歩いている多くの日本人の姿に大きなショックを受ける。その違和感がさらに膨らんだのは、「自分の好きなことを将来のキャリアにつなげたい」と考え、周囲の人々に相談した時だった。

「誰もが異口同音に『仕事とは、家族への責任を果たすためにするべきであり、好きや得意というのは趣味にとどめておくべき』と言うばかり。だけど、そもそも人は自分の好きなことや得意なことを活かして幸せに生きるために組織をつくったはず。日本はどんなボタンのかけ違いで個人が自分の気持ちを犠牲にして仕事をする社会になったのだろうと驚きつつも、『これは素通りしてはいけない違和感だ』と感じ、日本社会の当たり前を変えることを決心したのです」

小川氏はその目標の実現に向け、視野を広げるために、大学卒業後は意図的に多くの職種を経験。2008年に多くの人の気づきの場として株式会社ArtMindを設立した。事業として急成長させるも、事業内容が当初思い描いていたものとは違ってしまったことから2014年に活動を一時休止。“世界で最も売れたビジネス書”といわれる『7つの習慣』のフランクリン・コヴィー社に入社する。多くの顧客企業の企業研修を導入し、大手企業からベンチャー企業まで、多くの法人の課題解決を経験した後、2020年に株式会社ArtMindの活動を再開。

「本当はこの後、数年くらいかけてしっかり基盤をつくってから活動を再開する予定でした。でもコロナの感染拡大によって社会や、日本人の意識が大きく変化を求められたため、スケジュールを前倒しにすることを決めたのです。社会に大きな変革を起こすための入口をどう形づくるか、コンテンツをどう充実させるか、この1年は走りながらそれを考え、プロジェクトを構築してきました」

心と自分をつなぎ、心と心をつなぎ、人と人をつなぐ

今夏に完成し、始動し始めたそのプロジェクトは一言でいえば、人が「自分軸で生きる」のを当たり前にする仕組みづくり。そのために専門性の高いパートナー企業と連携し、8つの成長段階に合わせたサービスを提供している。

「まず自分の人生を考える『気づき』のフェーズから始まり、次に学びたいことを学べる場を提供する『学び』のフェーズ。リスクなく一歩を踏み出しやすい環境を提供し試行錯誤を楽しむ『挑戦』のフェーズ。心をほぐし、心を豊かにする『確立』のフェーズ。視野を広げ自分軸を開花する『対話』のフェーズ。個々の強みを相互補完できるパートナーたちと出逢う『繋ぎ』のフェーズ。そしてチームや個人が着想した発想を具体的な事業に落とし込み実践し売上をあげる『事業化』のフェーズ。最後に事業をブランド化し、社会に浸透させていく『浸透』のフェーズ。ArtMindはこのプラットフォームを活用する個人の成長を見守る役割です」

2021年6月には、その入口になる自社ウェブサイトを構築。個々の育成のフェーズに応じた悩みを選ぶと、その悩みに対応する専門性を持った個人や法人と、各ページから繋がることができる。

「利用者にとっては、自身の成長段階に合った自己実現を強力にサポートしてくれる専門性をもった個人・法人とつながるためのツール。そして専門性をもった個人・法人にとっては、自身の想いや専門性を発信するだけで自身の強みを活かせる顧客を効率的に集められる、集客ツールとなるのです」

小川氏は一人でも多くの人がこのウェブサイトを知り、利用することで、「自らの本当の好き」に気づくことを願っている。

ZOOMでの個人面談では、相談者の発言のほんのわずかな違和感も察知し、掘り下げていく。「1ミリのノイズに、その人が抱える問題の本質が凝縮されていることが多いのです」(小川氏)。

「疑問を持たず漫然と生きている人は、近い将来、今の仕事をAIに奪われ淘汰されていくでしょう。一方、自己の本質を明確に理解している人は、本当の“好き”を仕事にして人生を謳歌していきます。現代は二極化が進んでいるといわれますが、私はその人の希望の本質を浮き彫りにすることで、社会の二極化を防ぎたいのです」

小川氏が19歳に抱いた「日本社会の当たり前を変える」という夢が、実現に向かって歩み出そうとしている。

SUPER CEO Back Number img/backnumber/Vol_56_1649338847.jpg

vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
コンテンツ広告のご案内
BtoBビジネスサポート
経営サポート
SUPER SELECTION Passion Leaders
ブランジスタが手がける電子雑誌