ORCA COMPANY
CEO
黒川 ウェリントン 力
写真/芹澤祐介 文/竹田 あきら(ユータック) | 2021.07.12
ORCA COMPANY CEO 黒川 ウェリントン 力(くろかわ うぇりんとん ちから)
1995年バハマ生まれ。ナッソー、ニューヨークでの暮らしを経て、2歳半で沖縄に移住。幼少期から馬術を始め、興南高校時代は国体に出場。馬術の強豪・関西大学に進学し、全国大会で優勝した経験をもつ。2017年、某人材会社に入社し、入社後わずか3カ月で営業成績1位を獲得。2019年9月、国内外の営業コンサルティングを行うORCA COMPANYを設立。
バハマに特化した観光サイト「バハマナビ」。ツアー情報や観光スポット、現地の最新トレンドを伝えるメディアだが、日本からバハマへの観光客は近年著しく減少しており、バハマへの航空券や滞在するホテルを簡単に予約できるサイトや、現地の最新情報を伝える媒体は、ほとんどない。黒川ウェリントン 力氏は、まずここにチャンスを見出す。
「年間2万人いたバハマへの観光客は、2019年には1,000人に満たない規模にまで縮小しました。要因のひとつが、9.11のテロ事件。あの事件を契機にアメリカのエアラインを敬遠する人が増え、アメリカを経由するバハマへの観光客はすっかり減ってしまいました。しかし、バハマの魅力が失われたわけではなく、今の日本人が知らないだけで、バハマはとても魅力的な国です。バハマナビを通してバハマの魅力を発信していきます」
723の島と2,500近い岩礁からなる島国のバハマは、美しい海に囲まれ、温かい人々と暖かい気候に恵まれた世界有数のリゾート地。タックスフリーであるため、ブランド品や香水などを安く買うことができ、大型カジノ施設やタイガーウッズも愛するゴルフコースが数多くある。しかも、カリブ海で最も治安が良い国といわれており、安心して訪れることができる。
「バハマの魅力を日本人が知らない今こそが、バハマナビのチャンスです。私はバハマ生まれで国籍ももっており、現地の人脈もあります。そのネットワークをうまく活用して、バハマの情報を届ける記事を制作し、ツアー会社との提携でマネタイズもできます」
バハマは魅力的な国かもしれないが、日本から見れば地球の裏側にあり、気軽に旅行できる国ではない。旅費もかかれば、移動時間もかかる。直行便が飛んでいない現状では、バハマまで丸1日の旅程。旅費を抑えようとすれば、2日以上かかることもある。日本の会社は長期休暇が取りづらく、ハワイのように気軽に行くことはできない。しかし、黒川氏はまさにそこを逆手に取った戦略を描いている。
「人と違う体験をしたい人たちが、バハマナビのターゲットです。ハワイのような日本人がたくさんいる観光地に行きたい人もいれば、日本人がいない観光地を求めている人もいます。日本人にまだ知られていないバハマへ行って、特別感を味わいたい人にはピッタリです。欧米のセレブが集まる富裕層のリゾート地ですから、経営者や自営業者など日本のリッチ層もバハマへ行けば、特別な体験ができます。さらに言えば、ブライダル需要もあります。人生でたった一度の記念すべきハネムーンの日々を、特別な体験に変えることができる。それがバハマです」
2020年5月にスタートした「バハマナビ」。コロナ禍の緊急事態宣言が続くなかでのサイトオープンだったが、影響はないのだろうか?
「コロナ禍で世界が動きを止めている今こそが、バハマナビ最大のチャンスだととらえています。アフターコロナを想定したとき、旅行へのニーズは高まると予想しています。コロナ禍でモノの消費に飽きた人々は、体験を求めて世界へ出かけていくでしょう。そのときに、バハマ、そしてキューバやジャマイカ、メキシコといったカリブ海諸国の魅力を訴求して、一人でも多くの日本人にバハマを選んで訪問してもらいたいですね」
バハマへの観光客の減少、気軽に訪れられない立地、旅行業界に壊滅的な打撃を与えたコロナ禍。どんな困難も逆手にとってピンチをチャンスに変えてバハマナビの事業を進める黒川氏。それができるのは、バハマへの愛とビジネスチャンスを見分ける慧眼なのかもしれない。
「バハマナビを日本におけるバハマのポータルに育て上げます。現地の旅行会社と提携してツアー客の斡旋や法人設立のサポートなど、キャッシュポイントもすでに考えてあります。日本とバハマの貿易も進めており、バハマナビを通じて日本とバハマの架け橋になります!」
母の故郷である香川県丸亀市で起業し、現在も在住している。香川とバハマを「うどん」でつなぐ構想も。
▼バハマナビ |バハマの観光情報サイト|BAHAMA NAVI
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