企画力

起こせ、ジャイアントキリング! ブランディングは経営の“最大の武器”

むすび株式会社

代表取締役

深澤 了

写真/芹澤裕介 文/岡本のぞみ(verb) | 2021.11.10

ブランディングのプロとして、多くのベンチャー企業で結果を出してきた深澤代表。コロナ禍といった危機に瀕したときこそ、経営の武器になるという。その理由について聞いた。

むすび株式会社 代表取締役 深澤 了(ふかさわ りょう)

1978年山梨県生まれ。早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループに入社。広告代理店であるアドブレーン社にてCMプランナー/コピーライターののち、株式会社パラドックスへ。コピーライターとしてブランディングから制作物まで一貫して従事。2015年、早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年、むすび株式会社設立。2018年、書籍『採用ブランディング』を上梓し、採用分野の企業ブランディングにも注力。商品や企業を問わず、社内外への理念浸透を軸にしたブランド構築を進めている。

ブランディングとは「売れ続けるしくみをつくること」

“ジャイアントキリング”――小さな会社が大企業に打ち勝つことはベンチャー企業経営者の目標であり、次なるステップとなる。こうした“大番狂わせ”を演出できるのが、ブランディングの力。むすび株式会社は、いくつもの企業でジャイアントキリングをお膳立てしてきた実績がある。

「当社は、正しい理論に基づくブランディングを軸に、戦略から広告制作までを一気通貫した提案ができます。自社で『本菱』という日本酒のブランドづくりもしているので、その経験も還元しています。一般にパンフレットやホームページをつくることがブランディングだと勘違いされていますが、本来のブランディングは『売れ続けるしくみをつくること』。単なるプロモーションにとどまらないコンサルティングで、必ず結果を出します」

ときに社会の状況が様変わりしたコロナ禍のいま、顧客が求める相談にも変化が生じているという。

「経営者が自社のことを深く考えるようになったからでしょうか。これまでは、まず制作物を依頼されることが多かったのですが、いまは強い組織をつくるため、インナー向けのブランディングの相談が増えています。インナー向けのブランディングで重要なのは、いかに企業のなかにある文化や価値観を表すことができるか。社長だけでなく、現場で働く人たちの意志も加味しなければ浸透しない。そこを見据えて、理想は社員の方も巻き込んでプロジェクトを進め、伝わる表現を見つけていきます」

ブランディングは、成長していく上で一番の武器になる

企業のインナー向けブランディングのなかでも人事採用に特化したものが、「採用ブランディング」。これは日本で初めて深澤代表が確立したメソッド。一体、どんな特徴があるのだろうか?

「採用ブランディングは、自分たちの会社の強みや理念にフォーカスすれば、必ず結果が出るものです。自社にマッチする優秀な人材がいた場合、大手企業と競合したとしても入社するケースは多くあり、ジャイアント・キリングの効果が最も顕著に出ます。1年目から採用人数を達成するほど即効性があり、2年目からは自社でまわせるメソッドとなるので、予算削減にもなります。長い目でみると優秀な人材が活躍してくれるので、売上アップにもつながる。まさに最強の採用手法です」

実際に採用ブランディングを導入したあるラーメン店は、それまで新卒採用ゼロだったが、初年度から20人を採用できた。なかには大手証券会社を蹴った学生もいたほど。さらに今年はコロナ禍で飲食業界全体が厳しいなか、新卒40人、中途採用120人、アルバイト2040人の採用を予定。いかに劇的な効果があったかがうかがえる。

この会社は、採用ブランディングだけでなく、企業やサービス全体のブランディングも、むすびが担当。社名も変更するほど改革に踏み切った。その結果、それまで国内20店舗ほどの規模のラーメン店だったが、3年後には国内50店舗に拡大し、東証マザーズに上場。さらに快進撃は続き、現在は500店舗以上を展開し、東証一部に市場変更するほどの拡大成長を誇っている。

むすびのブランディングが絶大な結果をもたらす理由について、深澤代表は「当たり前のことをやっているだけ」と謙遜するが、その自信は揺るぎない。苦しい状況になっている企業こそ、ブランディングを活用してほしいとメッセージを送る。

「多くの企業で、ブランディングのような根本的な施策が求められているように思います。ブランディングは経営にとってインパクトがあるもの。成長していく上では一番の武器になる。効率的かつ本質的な企業成長を引き起こせるものだということを、もっと伝えていくのが使命。“ブランディングといえば、むすびだよね”と思ってもらえる会社にしたいと思います」

社会が変化してもブレない強いしくみづくりができるブランディング。深澤代表は、いまこそ必要なときだと、日本経済のために奔走している。

深澤代表による採用ブランディングの著書・第2弾。どんな企業でも当てはまる、実践的な内容となっている。

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vol.56

DXに本気 カギは共創と人材育成

日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

代表取締役社長

井上裕美

DXは日本の喫緊の課題だ。政府はデジタル庁を発足させデジタル化を推進、民間企業もIT投資の名のもとに業務のシステム化やウェブサービスへの移行に努めてきたが、依然として世界に遅れを取っている。IJDS初代社長・井上裕美氏に、日本が本質的なDXに取り組み、加速させるために何が必要か聞く。
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