人材獲得と売上アップの起爆剤 採用ブランディングのすすめ | むすび株式会社 深澤 了|注目の経営者|SUPER CEO

企画力

人材獲得と売上アップの起爆剤 採用ブランディングのすすめ

むすび株式会社

代表取締役

深澤 了

写真/芹澤裕介 文/岡本のぞみ(verb) | 2018.10.31

欲しい人材を獲得する採用方法「採用ブランディング」を確立した深澤代表。“経営学のひとつ”として企業価値を上げることにもつながるという、その理論について聞いた。

むすび株式会社 代表取締役 深澤 了(ふかさわ りょう)

早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループに入社。広告代理店アドブレーン社にてCMプランナー/コピーライターを経て、株式会社パラドックスへ。コピーライターとしてブランディングから制作物まで一貫して従事。2015年、むすび株式会社を設立。企業ブランディングや、地域ブランディング「まちいく」などで数々の実績を上げる。2018年、書籍『採用ブランディング』を上梓し、採用分野のブランディングにも注力。早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。

「採用ブランディング」という言葉をご存知だろうか? これはどんな企業であろうと欲しい人材を獲得できる画期的な採用手法を指す。

ブランディング・ディレクターとして多くの企業や商品・サービスのブランディングを手がけてきたむすび株式会社の深澤了代表は、採用ブランディングについて「企業の売上アップや成長を促す起爆剤になる」と語る。

「今、採用の現場は、母集団が集まらない・選考中の離脱者が多い・内定辞退が多いと嘆いています。新卒も中途も同様です。少子化や大企業志向が拍車をかけ、中小企業はお金をかけても人材を確保しづらい状況にあります。

また、2021年度の新卒採用からは就活ルールが廃止になるため、多くの企業が早期に採用活動を始めるでしょう。採用して終わりという現場の意識も問題で、人材が定着せず活躍人材が見込めないという本質的な課題に気づいていないケースも少なくありません。これを根本的に見直し、中小企業でも、地方でも、学生に不人気の業界でも、“強く、好ましく、ユニーク”に見せていく方法論が採用ブランディングなのです」

確かにそのように見せられれば人材採用に理想的な環境がつくれるだろう。具体的には、どのような方法なのだろう?

「企業は採用フローにおいて、ナビサイト、ホームページ、説明会、面接などで求職者と接点を持ちます。しかし、多くの企業は、これらをさまざまな協力企業に委託しているため、“一貫性”が出にくい構造になっています。ブランディングにおいて、“一貫性”というのは企業イメージを醸成するためにとても重要な要素です。そのため、採用ブランディングをするにあたっては、採用に関わる社員が一堂に会してワークショップを行い、そこで採用コンセプトをつくりあげます。

採用コンセプトは、企業の理念や創業の思いから強みを見つけていく作業。採用フローの構築まで含めると3カ月程度かかりますが、この擦り合わせが採用ブランディングのキモになるのです」

採用ブランディングとは、すなわち“採用コンセプトを決める”こと。これが活躍人材を増やし、売上アップや会社の成長にもつながると深澤代表は続ける。

「採用コンセプトは、その企業にとって唯一無二のものなので、他企業との差別化が図れます。採用フローを通して一貫した採用コンセプトを伝えれば、理念教育しながら採用ステップを進んでもらうことになるので、学生への理念浸透が促せます。

また、理念共感が進めば、意識のすれ違いによる内定辞退も解消されます。入社時から同じ目的を持って働いてくれますので、彼らが活躍人材になり、業績も上がりやすくなるのです」

実際に深澤代表が採用ブランディングを担当した企業の売上は右肩上がり。例を挙げると、ある不動産投資企業は、業界自体にブラックなイメージが先行していたことから、20人程度の新卒採用を予定するも直前で5人揃うのがやっとという状況だった。

しかし、改めて企業自体のクリーンなイメージを説明しつつ、不動産業界の忙しさは自身のスキルアップと捉えて「人生は投資だ」という採用コンセプトを打ち出した結果、早稲田大学や関西大学などから20人の新卒社員が入社。90億円だった売上は170億円になり、上場を達成したという。

深澤代表の著書『「無名×中小企業」でもほしい人材を獲得できる採用ブランディング』は、その理論と実例が豊富に掲載されている。経営者にとって必読の1冊だ。

他にも、一般的に採用に不利と言われる飲食業界や地方の企業でも採用を成功させ、企業の成長を促した例もある。企業成長に結びつくのであれば、採用ブランディングは“経営学のひとつ”であるといっても過言ではないだろう。深澤代表は、人事担当者だけでなく、経営者にこそ採用ブランディングを知ってもらいたいと訴える。

「事例でも分かるように、採用に経営資源を集中させることが会社を成長させるレバレッジになるということです。人材は30〜40年に渡って企業を存続させる“鍵”になります。そのため、人材採用において経営者自らが生の声で理念を説明するのはとても大切なこと。ぜひ、新たな人材に企業の価値や強みを直接伝えてほしいと思います」

採用ブランディングなくして、企業の成長なし。経営インフラのひとつとして覚えておきたい。

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vol.35

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