企画力

日本の田舎代表の酒「本菱」でブランド最強論を実証

むすび株式会社

代表取締役

深澤 了

写真/芹澤裕介 文/岡本のぞみ(verb) | 2019.11.11

ブランド構築のプロとして創業当時から地域活性に取り組んできた「まちいくふじかわ」。プロジェクトが4期目に入ったいま、どのようなビジョンを描いているのか、深澤代表に聞いた。

むすび株式会社 代表取締役 深澤 了(ふかさわ りょう)

1978年、山梨県生まれ。早稲田大学商学部卒業後、山梨日日新聞社・山梨放送グループに入社。広告代理店アドブレーン社にてCMプランナー/コピーライターを経て、株式会社パラドックスへ。コピーライターとして、ブランディングから制作物まで一貫して従事。2015年、早稲田大学ビジネススクール修了(MBA)。同年、企業のブランディングを推進するため、むすび株式会社設立。地域ブランディング「まちいく」など数々の実績を上げる。2018年、書籍『採用ブランディング』を上梓し、採用分野の企業ブランディングにも注力。商品や企業を問わず、社内外への理念浸透を軸にしたブランディング構築を進めている。

「地元の資産を掘り起こして町を元気にする」

商品や企業の強みを徹底的に引き出し、ブランド構築を推進してきた、むすび株式会社の深澤 了代表。さまざまな案件を成功に導いているが、創業と同時に始めた地域活性の取り組み「まちいくふじかわ」がさらなるステージに昇りつつある。

「まちいくふじかわ」は、むすび株式会社の地域活性ブランディング「まちいくプロジェクト」のひとつとして、山梨県富士川町を活性しようとするものだ。

「富士川町は私が生まれ育った町です。起業した2015年に実家に帰省したところ、かつて酒蔵だったことから当時の図面や刻印が出てきたんです。山梨に酒蔵が多いイメージはないと思いますが、かつては酒造りの町として栄えた歴史があります。

実家で造られていた『本菱』についても調べてみると、銘酒として地元で親しまれていたことがわかりました。消えてしまったのは、舟運の要衝地だったこの町が活気を失ったのと同じ頃。そこで、本菱を復活させることで地域活性しようと決意しました」

プロジェクトに先駆け、酒米と酒造を探したところ、運良く両方とも地元で造り手が見つかった。本菱を甲州富士川の酒と銘打ち、翌年から深澤代表は自身の手腕を生かし、ブランドを築きあげていく。

深澤社長

深澤代表は、今年インナーブランディングの仕組みを「ブランドプラクティス」として論文にまとめた。10月には日本マーケティング学会で採択され、発表の予定がある。

「プロジェクト1期にあたる2016年は、本菱復活に向けた準備期間として、米づくりと仕込み、SNSとクラウドファンディングによる応援メンバーの募集をしました。集まった約30人のメンバーとともに、本菱の強みをあげるなどブランドにとって必要なことを話し合いました。

第2期は翌年の本格販売に向けたプロモーション施策についてディスカッション。この年は4月に本菱が復活し、1000本をクチコミだけで夏までに完売させるという実績もできました。

3期目になって、初めて海外の日本酒コンクールに出品。すると、『ロンドン酒チャレンジ2018』銀賞、ロンドンの『インターナショナル・ワイン・チャレンジ2018』に入賞が決定しました。

4期目の今年に入ってからもフランスの『Kura Master日本酒コンクール 2019 純米大吟醸部門』金賞、『ロンドン酒チャレンジ 2019 純米大吟醸部門』金賞を相次いで獲得することができました」

海外コンクールは老舗酒造の銘柄であっても受賞するのが難かしいとされているが、復活して3年目の酒が4つの賞を獲得することは快挙と言えるだろう。味の実力もさることながら、「熱狂的なファンの応援があったから短期間での評価につながったのでは」と深澤代表は分析する。

実際に深澤代表が地元入りすると「本菱、飲んでるよ」とさまざまな人から声がかかるという。まさにブランディングによるファンづくりが功を奏した結果だ。現在、地元での販売がメインだが、1年以内には東京、そして海外へ販路を拡大したいと、展望を語る。

深澤社長と本菱

「120年ぶりに復活した幻の日本酒「本菱」 故郷・富士川町の思いをのせて全国に拡大中」

「本菱のターゲットは、山梨出身の都会で働く女性。ぜひ東京や海外での流通チャネルを拓きたいと、今年から問屋や酒屋、飲食店を当たっています。しかし、縄張り意識も手伝って、これがなかなか難かしい。

正直、酒の流通が古いと聞いてはいましたが、こんなに古いと思いませんでした。でも、ストーリーも味のお墨付きもある本菱をわかってもらえれば、流通の壁は越えられる。このプロジェクトで資金がなくても成功できることを実証し、ブランド最強論を打ち立てたいですね」

本菱は桜の名所である富士川町の酒として花見酒のイメージがある。この成功により、祝杯の酒のイメージもつきそうだ。

SUPER CEO Back Number img/backnumber/Vol_44_1591676245.jpg

vol.44

「アイメッド」のオンライン診療が 医療業界を変革! 患者はより良い環境に

SBCメディカルグループ

代表

相川佳之

2000年に湘南美容クリニックを開業して以来、美容医療にとどまらない総合医療グループ「SBCメディカルグループ」を築き上げた代表の相川佳之氏。いま最も力を注ぐことの一つに医療アプリ「アイメッド」によるオンライン診療の普及がある。日本の医療環境をどう変えようとしているのか。その先のビジョンとは――。
SUPER SELECTION 医療特化 スーパー・ドクター Passion Leaders
ブランジスタが手がける電子雑誌