目指せ群雄割拠の業界制覇! ニッチな商品「橋梁用伸縮装置」 | 株式会社クリテック工業 若林勇二|注目の経営者|SUPER CEO

商品力

目指せ群雄割拠の業界制覇! ニッチな商品「橋梁用伸縮装置」

株式会社クリテック工業

代表取締役

若林勇二

写真/芹澤 裕介 文/竹田 明(ユータック) | 2018.11.12

社会インフラとして欠かせない橋梁用伸縮装置のメーカー、クリテック工業。競合他社とは一線を画す戦略と商品力について、業界の覇者を目指す若林勇二社長に話を聞いた。(撮影場所/永代橋)

株式会社クリテック工業 代表取締役 若林勇二(わかばやし ゆうじ)

大学卒業後、判事を志して司法試験にチャレンジするも断念し、人材派遣会社や出版会社で主に営業を担当しトップセールスを記録。新会社の設立にも携わり、新規開拓営業も経験した。その後、代理店統括業務などを経て、2004年、父親が代表取締役を務めるクリテック工業に入社。2007年から代表取締役に就任し、現在に至る。

橋梁用伸縮装置を知っているだろうか? 自動車で道路を走っていると、橋を渡るときに道路を横断して波打っている箇所がある。あれが、橋梁用伸縮装置。橋桁は温度変化などによって伸縮するため、橋台とぶつかり合わないように隙間を設け、橋梁用伸縮装置を設置する。橋の変形や劣化を防ぎ、車や歩行者のスムーズな行き来を実現するために橋梁用伸縮装置が必要になるのだ。これを開発し販売しているのがクリテック工業だ。

クリテック工業の橋梁用伸縮装置は、優れた止水構造で橋の劣化を守り走行性も快適。露出部が少ないため走行時の衝撃や騒音も抑えることができ、雨天・降雪時でもほぼスリップの心配はない。

「橋梁は地域の人が利用する社会インフラです。当社の橋梁用伸縮装置は、耐久性やコスト面だけでなく、地域住民に快適な日常生活を過ごしていただくことを念頭において開発しています。ラインナップを充実させているのも、それぞれの橋にフィットした橋梁用伸縮装置を使ってほしいからです」

調査から設計、製造、販売、施工をワンストップで手掛けるクリテック工業は、いわゆる工場を持たないファブレス経営のスタイルをとっている。橋梁用伸縮装置の開発・設計は自社で行い、生産は協力会社に外注。できあがった製品は、多くを自社で直接販売し、施工まで行っている。

「施工まで手掛けることで、工事を受注した業者に商品だけを販売するのではなく、自ら工事を受注して商品を設置できます。この差が大きいです。間に商社やほかの施工会社が入らないことで、コストもスピードも削減できます。加えて、中間業者の思惑ではなく、エンドユーザー、あるいはその先の地域の住民の声を吸い上げて、次の開発に生かすことができます」

販売代理契約をする地方の橋梁工事の関連会社にとっては、同じ取引先に違う商品を売ることができ、事業の柱が増える。関東近郊は直販で、それ以外の地域は代理店に任せることで、クリテック工業は全国70万カ所の橋をターゲットにできる。ニッチではあるが、ニーズがなくなる心配のない業界だ。

撮影現場の永代橋をはじめ、クリテック工業の橋梁用伸縮装置を設置導入しているのは全国で2671件ある。(2018年10月現在)

「橋梁用伸縮装置のメーカーは、全国で20~30社。飛びぬけて大きなシェアを持つ会社もなく、群雄割拠の様相を呈しています。そんな中で、当社が業界の覇者となるために欠かせないのが、採用戦略と人材育成です」

クリテック工業では、経営計画書をまとめた手帳を毎年社員に配布。若林社長や会社が培ってきた経営哲学や営業手法を余すところなく収録し、理念と目標の共有、そして人材育成に活用している。下手なビジネス書を凌駕する内容に、購入を希望する人が後を絶たないのだそうだが、社外秘となっている。

「会社の経験を一冊の手帳に収めています。毎年新しい要素を盛り込んで、どんどん進化させているんです。戦略までは経営計画書で明らかにしていますが、その先の戦術にあたる部分は『アクションプラン』という仕組みの中で社員が考えてつくっています」

人材育成に力を入れ、調査から設計、製造、販売、施工をワンストップで手掛ける機動力を強みに、クリテック工業は業界トップを目指して邁進する。

「国の重要文化財に指定された永代橋に、当社の橋梁用伸縮装置を採用してもらうなど、積極的な営業活動も結果につながっています。全国の橋梁で当社の橋梁用伸縮装置を使ってもらい、信頼の輪を広げていきたいと考えています」

SUPER CEO Back Number img/backnumber/Vol_34_1538711080.jpg

vol.34

SPEEDA・NewsPicksで躍進! 世界を狙う組織のつくり方

株式会社ユーザベース稲垣裕介

「経済情報で、世界を変える」をミッションに掲げるユーザベースは、企業・業界情報プラットフォーム「SPEEDA」やソーシャル経済メディア「NewsPicks」など経済情報に軸を置いた事業を展開。創業5年目で海外へのサービス提供に乗り出し、2016年には東証マザーズへ上場。快進撃の背景にあるものとは?
SUPER SELECTION 医療特化 スーパー・ドクター Passion Leaders

ブランジスタが手がける電子雑誌